五十肩の治療は痛いの?
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- Category : 施術報告
肩関節の動きが悪くなり、腕を動かすと痛みを感じるようになると五十肩と言われるようになります。
五十肩という俗称で、正式には「肩関節周囲炎」と言います。
肩関節の周囲が何らかの原因で炎症を起こし、筋肉が硬くなって動かしにくくなります。
硬くなった筋肉を無理に動かそうとすると、痛いというのがこの症状です。
夜間痛といって、眠って2時間程すると、腕がだるくて痛いという辛い症状にさいなまれます。
患者さんは、寝付いたころに痛くて目が覚めるし、そこから寝付けないという話を良く聞きます。
確かに、肩の筋肉が硬く縮んでいるため、関節の保持力が低下します。
上を向いて寝ようとすると、腕の骨が床の方に
落ちていきます。背中側に下がるのです。
すると、腕が何とも言えない痛みを発するのです。
患者さんから、何故痛いのかを聞かれると今の話をします。
そして肩の下に、毛布を折りたたんで、仰向けで寝る患者さんの
肩甲骨辺りに差し込みます。すると腕の骨が支えられて
肩関節の周囲の筋肉の負担が減り、かなり楽に寝られるようになります。
もう一つ、筋肉は一晩に微小な痙攣をしているのです。
健康な人も、怪我をしていても、もちろん五十肩であっても痙攣を必ずします。
炎症が強い時は、その痙攣に耐えられないのです。
痛みが出ると、目が覚めて、寝返りや、肩をさすったりすることで
痙攣の代わりをさせるのです。
良くできているなぁ・・・とつくづく思います。
痙攣は、眠っている間の酸素の供給や代謝の促進のために行われているようです。
この痙攣のお陰で、寝ている間も酸素が行きわたり無事に命を繋げることができているというわけです。
人間の身体ってすごいなとおもいます。
さて、五十肩と言われた時に、友人知人の中に五十肩の経験者から
情報を集めようとされる方が多いですね。
そして、必ずといってもいいくらい、
『私は、何もしなかったけど、3か月で治ったよ」という話が出てくるのです。
何もしなくて治った人と、治らなかった人の違いは何でしょうか?
それは、実は簡単でして、”違うもの”だということなのです。
治った方と、治らなかった方、もはや違うものなのです。
私がインターンで勉強させていただいたクリニックには
両腕がほとんど左右に上がらなくなった患者さんがおられました。
五十肩というのは、放置して自然に治るものではないことを知っておいて欲しいと思います。
前述のように悪化し、必ず可動域が狭くなりついには、後悔するようになります。
筋肉が硬くなり、血流が悪くなると痛みが出ます。
これは医学部が使う生理学の教科書にもそのように書かれています。
肩関節の表層から、深層筋まで炎症で硬くなり血流が悪くなった状態が
「THE 五十肩」なのです。
五十肩の治療は、整形外科ですと
注射やお薬(軟膏や貼付薬)によるものと
PTによる機能回復訓練=リハビリテーションです。
リハの現状は、おおむねマッサージと
痛いけど無理やり動かす強制運動です。
これらは、辛く長い道のりですが、やらないとどうなるかと言えば
可動域が狭くなり、やがては更なる苦痛が待っているのです。
だから、やらねばならないのです。
では、当院ではどうするのかというと
基本的には可動域の拡大を目的として施術を行います。
アプローチの仕方は、無理矢理ではなく
先ず、筋肉にそっと指先からアプローチします。
そして、五十肩の本丸である深層筋群
棘上腱板に照準を合わせ緊張の緩和を図ります。
すると、深層筋が動きはじめます。
血流が回復して、人によっては肩がポカポカする
と言われる方もおられます。
そうなってから、ゆっくり腕を前や後
その可動域が拡がったら、ゆっくりと外側
最期に肩甲骨を触るように曲げていきます。
勿論一回でそこまで回復させることはできません。
何度かの治療を要します。
しかし、当院の施術は『痛くないこと』を目標に掲げています。
痛いと訴えるのを聞きながら、
『いたいですねぇ・・・でも頑張りましょう!」
と言って無理やり動かすのは、私自身はちょっとな・・・と思います。
痛い時点で、患者さん「防御反射」が起こり良い治療とはなり難いのです。
ですから、当院ではまず、固まっている筋肉を支配する
筋肉と神経の接合部、「神経筋」という部分を刺激して
神経支配が復活するように仕向けます。
そうすることで、筋肉が柔軟性を回復します。
回復した分だけ動かすようにすると
痛みを感じずに、可動域が少しずつ拡がっていくのです。
「神経筋整合法」と呼ばれるこの技法は、大阪大学で検証され
その効果が認められた数少ない安全で効果抜群の療法です。
ただ難点は、「難しい」今風なら「ムズイ」の一言に尽きます。
深層筋を狙う場合、深層筋をどのような状態に置けば
施術効果が発揮されるのか。
解剖学的知識、機能解剖学(運動特性を踏まえた解剖学)などの
知識を思い浮かべながら、適切な極めて微弱な刺激を
あたえて施術するのです。
お陰で、力業ではないので、患者さんにを壊す恐れが無いことは
自信をもってお伝え出来ます。
その分、与えた刺激に対する、患者さんの筋肉の反応をしっかりと
受け止め、治療効果を引き出すように施術しなければならず、
力よりも、集中力が求められ、それはそれで決して楽ではありません(笑)
しかし、五十肩の施術というのは
総じて時間がかかることが多いです。
しかし、夜間痛等はできる限り早期に出ない様にしたいですね。
その為にも、筋肉の緊張緩和がカギとなります。
神経筋整合法は、非常に有効な手技療法と言えます。
次回は「五十肩って言われたのに 違ったの???」
五十肩と言われ続けていたのに、
なんと、一回で治ってしまったという