身体コンサルタント / 柔道整復師 田上耕三の身体研究コラムColumn

※このコラムは、身体コンサルタント田上耕三が考える「身体へのアプローチ方法・施術方法」に基づき書かれています。そのため、著作権法上著作者の許諾なくコピーすることを禁止します。
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クラッシックバレエ

田上耕三

 当院には、クラッシックバレエのバレエダンサーが沢山いらっしゃる。大抵、皆さんスリムで顔立ちも良い方ばかりだ。そのような彼女たちが、一種独特のメイクをして舞台に立つ様は、舞台の演出の素晴らしさと相俟って見る者を圧倒する。実は、当院のランディングページには、地元で活躍するバレエ団の講師も務めるバレエダンサーである高木美智子様から、推薦文をいただいている。高木さんがまだ大学生の頃からのお付き合いになるので、随分長くなってきた。

私が、バレエを観に行くきっかけとなったのは、大垣市で活躍されたピアニスト河村義子先生に誘われ舞台を観に行ったことがきっかけだ。その時、バレエダンサーの動きを見て気づいたことがあった。ダンサーの動きは、「全て正確に関節軸を合わせて動く」ということだった。

これは、簡単なことではない。
今のヒップホップ系のダンスで、バレエほど関節軸を意識して動いているものはないのではないか。もちろん、そのように意識してジャズダンスや、その他のダンスを踊っている方もいる。例えばマイケルジャクソンのバックダンサーは、すべてバレエ経験者が選ばれるという話を聞いたことがある。事実確認はしていないので、ご興味のある方はご自分でお調べいただきたい。オーディションの審査では、バレエ経験の有無を考慮しているわけではない。しかし、選出された全員が、バレエ経験を持っていたというのだ。ダンスのプロ中のプロが厳しく審査するとき、自然に正確な身体操作ができているか否か、ということに目が留まるのだろう。踊る方もプロなら、指導する方はそれ以上にプロフェッショナルだということだ。素人には同じに見えても、プロの目はごまかせない。審査の基準が明確で、決して気分では決めていないということだ。

 バレエは、もちろん芸術である。身体操作を駆使して観客に訴える。身振り、手振りでストーリー展開をしていくのだ。こういった動作を情感たっぷりに魅せていくのは、にこやかな“作り笑顔”、“哀し気に作った顔”で伝わるものではない。全身を使って、表現しなければ伝わらない。腕を動かすだけだが、全身の神経を集中して、筋肉を動かすのだ。

 バレエダンサーは、普通に比べれば非常に身体の柔軟性が高い。3歳から5歳くらいから習い始める子が多く、バレエストレッチを習得するのだ。バレエのストレッチは、一般的に言われるストレッチとは少し違って、極めて正確で良く考えられている。私がこのように言うのも僭越なんだか。私の専門的見地から見ると、実に素晴らしいのだ。ストレッチが筋肉を柔軟にするという考えは、必ずしも正しいとは考えていない。筋肉は収縮することしかできない組織である。無理に伸ばして伸びるほど容易なものではないのだ。

 バレエはWikipediaによると、起源がルネッサンス期のイタリア、それがやがて貴族階級によりフランスに伝わりバレエとよばれるようになり、今日に至っている。このような身体操作をイタリア人とか、フランス人が思いついたということが意外である。なんとなく、この手の身体操作は、東洋人の専売特許だと思い込みがあったので。欧米人は、現在の主流的な筋トレを行い、ボディーデザイン的な目的で身体作りをする印象が強い。身体操作も「技」よりも「力」を重視するという印象が強い。他にも例えば剣を見ても、叩き切る印象が強い西洋の剣に対して、技の冴えで切る日本刀といったように、文化的に技を重視する東洋に対して力の西洋というイメージが強い。

 日本の武術も、関節軸をきちんと整え、体軸などを強くしなやかに保つことが必要だ。狂言や能の動きも共通したものが有る。それでも、様々なバリエーションを持っているうえに、そのどの場合においても軸上の動きを求めるバレエは、全てのダンスのエッセンスを含んでいると思うのだ。

 このカテゴリーでは、多くのダンサーを診てきた経験から、身体操作や障害の取り組みについて書いていきたいと考えている。

 

 

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