身体コンサルタント / 柔道整復師 田上耕三の身体研究コラムColumn

※このコラムは、身体コンサルタント田上耕三が考える「身体へのアプローチ方法・施術方法」に基づき書かれています。そのため、著作権法上著作者の許諾なくコピーすることを禁止します。
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三技:みわざ

 ある患者さんのお子さんが、母親の施術を心配そうに見ていた。子供というのは、自分が治療を受ける時はもちろん、不安で泣きそうになる。実際泣かれて困ったことも何度もある。母親の治療に連れられ、自分が治療を受けるわけではないけれど、幼いながらも母の痛みを感受し心配し、不安そうにしているものだ。

そんな子供の話である。母に連れられ、母親の施術が終わるのを終始、監視していた幼子。

施術が無事に終わり、元気になって帰る母をみて安心し、はにかんだ笑みをみせながら帰って行った。その後日談が面白い。母親が受診したことを、紹介者の方に報告をした時のエピソードである。

 「子供がね、『お母さん、タガミ先生のカミは神様のカミだね』と言うのよ。母『なんで、そう思ったの?』子『だって、あんなに痛かったお母さんが元気になったんだよ、すごいね~』と言ったんですよ。」

大人たちは、笑いながら、「ほんと、よかったね」と返したそうだ。
言っておくが、私の創作話ではない。この話を聞かされた時、素直に「良かった」と思った。施術したものとしては、安堵感と喜び、やりがいを噛みしめる瞬間だ。しかし、一方でとても照れ臭いものである。

コラムを書くに際して、このエピソードを絶対書けと言われた。随分悩んだ挙句素直に書かせていただくことにした。このコラムは、私の施術の考え方、施術技術のことなど、ブログ(アメブロ)に書ききれなかった事を書こうという趣旨だ。
 読者の中には、ご自分の体調で悩んでいる方もいらっしゃるであろう。
そして、このコラムにたどり着き、「もしかしてここなら治るのかも」と考えるに至り、次に実際に通院をするかどうかを悩まれるにちがいない。実は、この段階が最も重要なのだ。
なにしろ、自分の身体を他人に預けるなど、信頼するどなたかのご紹介でもない限り、躊躇するのが当たり前である。だからこそ、子供のこんなたわいもない話でも、判断の参考になるのではないかと考えたのだ。だから何なのだ、と言われればみもふたもない。

 本コラムは、自分の仕事のことが中心となる予定だが、仕事と一見かけ離れているように見えて、実はとても重要視していることがある。それは、人智を超えた“おはたらき”とでもいうものである。私は、患者さんの容態が少しでも良くなるように、知識と技術、経験を総動員して向き合う。でも、それでもなお十分とは言えないと思っている。いつも、施術をしているときには、「こうじゃないなぁ・・」、「もう少しこっちかなぁ~」と考え、患者さんの身体から帰ってくる反応を拾いながら、逐次変化させる。そうやっていると顔つきはぶっきらぼうになるのだ。これは言い訳であるが、それは真剣みの表れと思いご容赦いただきたい。兎も角、そうやっている時に、ふと全く違うことを思いつくことがある。それは、私の知識や経験に基づいたものではなく、人智の及ばぬ何かしらの影響を受けているのではないか、と思うのだ。このように話して私が何かの宗教にかぶれているとか、何か花瓶やらお数珠を販売するとかそのようなことは、当然だが一切無い。

第一そんなものがあるなら私が欲しい。

そうではなく、自分の考えの及ばない“気づき”があったならそれは私の考えではないのではないか。その気づきが、「あ!そうか!」と思えるものであれば、すぐさま試してみる。そして、首尾よく整えば患者さんにとってそれ以上に良いことは無い。私は、その気づきが自らの経験と知識に基づいて、“気づいた”ものでないことを誰より知っているのだ。では、その気づきはどこからやってきたのか。それは、もはや人智、すくなくとも私の知恵を超えた何かが示したくれたものである。と考える方が楽だし、好きなのだ。

 そう、私は無類の神様フリークなのだ。といってもパワースポット巡りとかにはあまり興味がない。それより、古事記や失われた風土記、偽書と言われている歴史書にスポットを当てたものを読むのは好きだ。いつか自分もそんな神様の足跡を歩いてみたいと目論む一人でもある。そんな訳で、もしかしたら歴史や神話にまつわるカテゴリーが書けるようになると良いなと独りごちているのである。

 話がそれてしまったが、なんでも、「自分」がでは無いのだ。そう考えているからこそ、神仏に対する畏敬の念を持たずにはいられない。だから、私は毎日住所地の鎮守様にご挨拶を欠かさない。いや、たまには無い日もある。毎朝、日を拝する。接骨院の鎮守様への感謝の念を欠かしたことは無い。もちろん先祖の御霊にも感謝の気持ちを忘れない。私にとってこういったことは、ごく自然で当たり前のことである。しかし、読者の多くの方にとっても、大なり小なりご賛同いただけると信じているのだ。

だからという訳ではないが、手は抜かない。信じて、受診された方に精一杯の施術をし、今日の完璧を目指して日々取り組んでいる。

本コラムの「みわざシリーズ」は、おもに技術の基本となる診方について書いていく予定だ。他のカテゴリーにでは、具体的なことを書いていこうと考えているので気長にお持ちいただきたい。
特に、音楽演奏特にピアノ演奏にまつわる、様々な問題を身体操作という視点で考察をしたものを逐次アップする予定である。これは、大垣市でご活躍されたピアニスト河村義子先生との共同作業によるところが大きい。できる限り良いものにしたいと考えている。

せっかく当コラムへおいで頂いたのだから、少しでも有益な情報である、と思っていただければ幸甚である。

 

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