演奏する時の腕のポジション 1
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- Category : 音楽演奏障害
1) 演奏する時の腕のポジションは、どうやって決めるのか。
ここでお話したいのは、ピアノと自分の位置とか腱板のどこら辺に腕を構えるかと言うことではありません。
ピアノを弾く時にどの指を中心にするのかということをお話しいたします。
私たちの身体は、関節で曲げ伸ばしができるようになっています。演奏する時は、指の曲げ伸ばし、上げ下ろし左右への移動、あるいは肩関節や肘、手首、などを連動させて演奏しています。
逆に言えば、そのように複雑な動きをしなければ弾けないということです。
そうであれば、可能な限り動かしやすい身体で弾く方が上手く弾けるはずですし、学習効率も上がるというものです。
動きの質が良くなるためには、関節の軸がきちんと整っていることが条件になります。
軸は、ドアのちょうつがいと同じです。関節に棒は有りませんが、関節の動きはあたかも棒が有るかのように動きます。
ドアのちょうつがいの芯棒が歪むと、ドアはギコギコ音を立てます。動きも渋くなります。さらに無理して使えば他のちょうつがいも歪み始めます。そしてついにドアとしての用をなさなくなります。
2) 人間の身体の関節軸を歪める要因は何か?
それは、「筋肉」です。
筋肉の緊張がどのようになっているかで骨の位置は変わってきます。
例えばある関節の上下に筋肉があったと仮定します。
上の筋肉と下の筋肉の緊張がバランス正しく保たれていれば、関節軸は真っすぐを保ちます。しかし、何かの原因で、そう例えば過度に反復して使用したことで、下の筋肉の方が上の筋肉よりも緊張の度合いが高くなってしまいました。
すると、骨は硬くなった下の筋肉の方に引っ張られてしまいます。
今まで均衡が保たれていたことで、真っすぐを保っていた関節軸が、筋肉の緊張に伴いバランスを崩し本来あるべき位置から変位してしまいます。当然関節軸も歪められてしまいます。
このようにして、私たちの関節軸は少しずつ狂っていくのです。
3) 本来とは違う動作、似て非なる動作。
歪められた関節軸で関節を使うと、その歪みを近接するあるいは連動すると言った方が正しいか、他の関節が少しずつ歪んでしまった関節に、自らの軸を歪めながら何とか連動しようとします。その過程で本来動くはずのない筋肉が動員されたり、動くべき筋肉がスルーされて可動すということも起きてきます。
このように、少しくらいズレようと人間は動くことができます。これは、私たちが不測の事態に陥ったとしても、危険な現場から離脱できるように何とか動けるように作らているからです。機械の身体ではこうはいかないでしょう。人間の動物としての基本的能力です。
本来の動きとは違うが、何とか目的の動作をこなすことを代償運動と言います。
脳梗塞になっても動けるのはこの機能のおかげです。
導入としては、非常に長くなってしまいました。
最後までお読みいただき心より感謝いたします。
そして、お疲れさまでした。
腕のポジション2で実際の腕のポジションの話をしたいと思います。